原作越えとも評される漫画の実写映画化まとめ
話題のあの漫画がついに実写化、という情報が駆け巡ると、実写化を喜ぶファンより不安になるファンは多いと言われています。日本の漫画、特にファンタジックな世界観で展開する作品の登場キャラクターはどこか西洋風な顔立ちやスタイルのキャラクターが多く、日本人がそのまま演じると無理が生じるケースがあることから、実写化を悲観するファンはあとを絶ちません。
そんな漫画を実写化した作品の中でも、特に成功例が多いのはラブコメ系やリアリティーのある実社会が舞台となった作品。これらの作品は日本人が演じても大きな違和感はありませんが、それでも漫画本来の良さを引き出し、原作ファンを納得させるのは難しいです。
今回は、そんな実写化で成功し、漫画ファンにも支持されている人気作を厳選してご紹介します。
▼ 目次
青春スポ根かるた漫画 「ちはやふる」
漫画のテーマとしてはちょっと珍しい競技かるたを扱った漫画が末次由紀の描く「ちはやふる」。少女漫画という枠ながら、まるでスポーツのように熱く激しい競技かるたの魅力を存分に描いた作品です。
主人公の綾瀬千早が競技かるたで世界一を目指す戦い、成長の模様を描くだけでなく、恋愛を含めた青春群像劇としての面白さも「ちはやふる」人気の要因となりました。
実写映画化にあたり、主人公の綾瀬千早に選ばれたのは人気女優広瀬すず。キャスト発表時には千早のイメージとは異なる、という声も上がりましたが、実際に映画を目の当たりにすると想像以上に千早のキャラクターに馴染んでいたため、批判の声は一転して絶賛と変わりました。
「ちはやふる」はアニメ化もされていますが、実写映画はアニメのクオリティーに負けないほどのスピード感と試合の迫力となっており、こちらも実写ならではの演出が光ります。
漫画、アニメ、実写映画と、それぞれのメディアで違った楽しみ方ができる作品です。
美術大学を舞台に展開する青春群像劇 「ハチミツとクローバー」
2000年代を代表する大人気恋愛漫画であり、女性ファンのみならず男性ファンにも支持されたのが羽海野チカの描く「ハチミツとクローバー」、通称ハチクロ。
美術大学を舞台に、3人の美大生が自身の才能や生き方について悩む姿や、恋愛模様を描いた作品として高い人気を誇ります。
実写映画化にあたり物語の中心人物である竹本祐太には嵐の櫻井翔、花本はぐみには蒼井優を起用。当時は豪華キャストと話題になりましたが、どちらも原作漫画のキャラクターのイメージを崩すことないキャスティングとなっており、この点は熱心な原作ファンも納得のポイントとなりました。
また、ハチクロの魅力である片思いの切なさ、一途さを上手く演出して、実写という形に落とし込んだのも実写映画版「ハチミツとクローバー」が高評価される理由のひとつ。
あれもこれもと欲張ったテーマを設定するのではなく、あくまでハチクロらしい物語でしっかりと魅せる映画となりました。
「ハチミツとクローバー」はアニメ、映画、ドラマと様々なメディアで展開しましたが、実写版ハチクロは、実写の持つリアリティーや息遣いで、原作のファンからも評価を得ています。
家族愛と絆を描く海辺の物語 「海街diary」
舞台となるのは神奈川県の海辺の町、鎌倉市。
鎌倉で生活する香田三姉妹と、その異母妹として登場する浅野すずを主人公に描かれる「海街diary」は、数々のヒット作を生み出した吉田秋生が手がけた青春漫画です。よそからいきなり香田家にやってきたすずと、香田3姉妹のやりとりを通じて少しずつ姉妹として、家族として打ち解けていく物語となっています。
実写映画化にあたっては四姉妹のキャスティングが注目されましたが、長女香田幸には綾瀬はるか、次女佳乃には長澤まさみ、三女千佳には夏帆、そして浅野すず役には広瀬すずと、非常に人気の高い女優を揃えたことで大きな話題となりました。
その豪華さでただ話題となっただけでなく、随所で見せる演技力や可愛らしい仕草も魅力であり、脇を固める樹木希林やリリー・フランキーといった名役者の活躍も見逃せません。
映画版で是枝裕和監督が心がけたことは、原作の精神を残しつつ、映画でしか表現できない魅力を盛り込んでいくということでした。
四姉妹が暮らす一軒家のシーンは、1年にわたって鎌倉の縁側のある民家で撮影されており、鎌倉の海の美しさや、季節の移り変わりを鮮やかに捉えた風景、おいしそうな食卓を囲むシーンなども見どころとなっています。
第39回日本アカデミー賞で最優秀作品賞受賞をするなど、原作ファン以外からの評価も非常に高い作品です。
手に汗握る頭脳戦で大ヒット 「DEATH NOTE」
デスノートと呼ばれるノートに人の名前を書き込むとその人間を殺害できる、という死神のアイテムを手にし、次々と犯罪者を殺害して新世界の神になることを目論む主人公の夜神月(やがみらいと)。そんな月の犯行を止めるべく警視庁に雇われた敏腕名探偵L(エル)との頭脳戦が魅力のサスペンス漫画が「DEATH NOTE」です。
自らの理想とする世界を実現するためにデスノートの力を行使する夜神月と、探偵として警察を動かして月を追い詰めるL。2人の天才が繰り広げる心理戦、頭脳戦は実写映画化によってより緊迫感のある演出で大評判となりました。
夜神月を演じるのは漫画を実写化した際の名作請負人とも言える藤原竜也、Lを演じるのは松山ケンイチと、絶妙なキャスティングと素晴らしい演技で漫画以上の出来となった、とも言われています。
数ある実写映画の中でも随一の成功例と言われており、映画だけで4作の公開となっただけでなく、ドラマ化、舞台化までされた大ヒット作品です。
現代社会のあらゆる闇を詰め込んだ大人向け漫画 「闇金ウシジマくん」
主人公となるのは闇金会社「カウカウファイナンス」を経営する若き社長、丑嶋馨(うしじま かおる)。それぞれの理由でお金を貸してほしい、と借金をしていく人々と、そんな人間たちの闇が深い日常や転落していく人生模様をハードに描いた漫画が「闇金ウシジマくん」です。
タイトルこそコミカルな雰囲気ですが、その中身は一貫して闇社会をリアルに描き、ギャンブル中毒や風俗、薬物、生活保護などあらゆるジャンルの闇を取り扱います。
「闇金ウシジマくん」は実写映画化する前に先行してドラマ化しており、映画はドラマに関連した物語という形で製作。主役の丑嶋馨を演じたのは山田孝之で、漫画版の丑嶋馨をそのまま3次元に起こしたようなルックスとインパクトあふれる演技を見せ、原作漫画ファンも納得のキャスティングとなりました。
その人気から4作の映画が公開されており、いずれも漫画版で描かれたエピソードをベースに高いクオリティーで製作されたため、原作ファンはもちろん、映画だけを初めて観る、という方でも楽しめると評判の作品となっています。
入浴文化をテーマにした珍しい作品 「テルマエ・ロマエ」
日本人の生活様式とは切っても切れない関係とも言える入浴。家風呂、銭湯、温泉と様々な入浴文化が根付いていますが、そんな入浴をテーマに描かれた大ヒット漫画が「テルマエ・ロマエ」です。
古代ローマで浴場の設計技師として働いていたルシウス・モデストゥスが、ひょんなことから現代日本の銭湯にタイムスリップしてしまうことで始まるコミカルで、それでいて勉強にもなる娯楽作品となっています。
原作漫画では2,000年近くも前のローマ人、ルシウス・モデストゥスが現代日本にやって来るという設定でしたが、そんなルシウス・モデストゥス役に抜擢されたのは外国人、ではなく俳優の阿部寛。
ホリが深く、外国人男性のような濃い顔と体格の阿部寛はまさにうってつけの配役となり、ルシウス・モデストゥス役を見事に演じたことで映画としての完成度、シュールなギャグ描写はさらに秀逸なものとなりました。
キャスティング、演出、ストーリーと、すべてが高いレベルでまとまった「テルマエ・ロマエ」は、漫画版、アニメ版以上に面白いとの評価も上がり、腹の底から笑えるコメディー映画として近年公開された日本映画の中でも屈指と言えるほどの作品です。
激動の時代を戦い抜いた剣客の物語 「るろうに剣心」
舞台は明治時代初頭。幕末を剣客として生き抜いた飛天御剣流の使い手、緋村剣心が史実と絡みながら展開する物語の中で強敵たちと戦い、仲間たちとともに成長していくバトル漫画が「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」です。
少年ジャンプ漫画特有の「努力」、「友情」、「勝利」といった三本柱はそのままに、美形キャラクターの活躍や少年漫画らしい熱い展開の連続で、男女問わず人気の作品となりました。
「るろうに剣心」の漫画自体は90年代の作品ですが、実写映画となったのは2012年(平成24年)のこと。漫画完結から実に10年以上の歳月を経ての実写化ということもあり、その完成度やキャスティングを不安視する声は多数上がりましたが、そんな逆境をはねのけて3作が公開されました。
主人公の緋村剣心を見事に演じた佐藤健、ライバル役として登場するもうひとりの剣客、志々雄真実を演じた藤原竜也の好演。大友啓史監督は、原作を忠実に再現することとともに、実際に生身の俳優が演じることを大事にしました。主役の佐藤健が練習を重ねてノースタントで臨んだアクションシーンも見どころのひとつです。
映画ならではの大スクリーンで観る迫力の殺陣、そして重厚なストーリーは原作ファンにも高評価となりました。バトル漫画の実写映画をヒットさせるのが難しい現代において、これだけのヒット作となった「るろうに剣心」は、漫画とは別の面白さ、魅力あふれる作品と言えます。
ギャグ、バトル、シリアス展開となんでもありの話題作 「銀魂」
時代設定こそ江戸時代末期ですが、現代日本的な文化やアイテムが登場するなど、コミカルな作風で人気となったのが「銀魂」。
パロディーネタや下ネタをちりばめたギャグ漫画という側面を持ちつつ、少年ジャンプ漫画らしくバトル展開もあり、時にシリアスに、またときにはハートフルで人情味あふれる話も「銀魂」の魅力です。なかなか際どいネタを扱うことも多いのが特徴的ですが、そんな内容にもかかわらず男性以上に女性ファンが多い作品となっています。
そんなハチャメチャな「銀魂」ですが、実写映画化が決まった際にはそのキャスティングが大きな話題となりました。主人公の坂田銀時には小栗旬、坂田銀時が経営する万事屋(よろずや)で働く志村新八には菅田将暉、同じく万事屋に住み込みで働くヒロインの神楽を橋本環奈、と人気の役者がずらり。
映画としては完全に笑いに振り切った作品となっており、原作漫画やアニメと同様に詰め込まれた様々なネタが見どころとなっています。また、キャストの熱演も高く評価されており、よく作り込まれたコメディー作品としておすすめできる映画です。
※この記事は、2018年10月時点の情報に基づいて作成されています。
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